トラブルにならないための〜法律の相続対策
トラブルにならないための〜法律の相続対策
文書作成日:2022/03/20

 今回は相談事例を通じて、遺言書を作成するとよいケースをご紹介します。

 私は先日夫を亡くしました。私には子がおらず、父母・祖父母はすでに他界しており、一人っ子のため兄弟姉妹もいません。私が亡くなったら、面倒を見てくれている亡夫の姪に財産を渡したいと思っていますが、どうすればよいでしょうか。

 ご主人の姪御さんは、あなたの法定相続人ではありません(民法第886〜895条)。あなたには法定相続人がいないため、遺言書がない限りあなたの遺産は原則国庫に帰属します(民法第959条)。姪御さんにお世話になっていたり、今後お世話になったりなどの事情から、あなたが亡くなったあとに残った財産を姪御さんに渡したいときは、遺言書を作成されることを強くお勧めします(民法第960〜965条)。

 法定相続人がいない(相続人不存在)場合、相続開始時から相続財産は法人となり、家庭裁判所によって選任された相続財産管理人が相続財産を管理し、相続人を捜索し、相続財産を精算する手続きを行うことになります(民法951〜959条)。

 あなたが亡くなったあとに遺言がない場合でも、上記の一連の手続きで、姪御さんが療養看護に努めたことなどを以って、特別縁故者として相続財産の分与を家庭裁判所に請求し、認められれば相続財産の全部または一部を姪御さんが受け取ることができます。ただし、姪御さんが確実に財産を受け取れる方法ではありません。また、家庭裁判所の手続きが煩雑であり、時間もかかります。
 姪御さんに遺贈する旨の遺言書を作っておくことが確実です。

 遺言は、作成の方式を満たし、遺言の要旨が明らかであれば自筆証書であっても公正証書であっても効力は同じですが、自筆証書による遺言は、法務局で遺言書の保管をしない限り家庭裁判所で検認の手続きが必要になります(民法第1004条)。一方、公正証書による遺言は、検認の手続きが不要であることと、公証人が遺言者本人の遺言意思を確認して作ってくれることから遺言の要旨も明らかであるため、紛争が生じる恐れも少なくなります。したがって遺言をされる場合は、公正証書で作成されることをお勧めします。

 その他ご参考までに、近年、高齢の方たちが相続人になるケースで散見される相続の課題として、推定相続人に行方不明者や認知症の方がいる場合があります。

 遺産分割協議は、全員が参加し、相続人のうち誰が、何を、どれだけ相続するかを話し合わなければ成立しません。当事者の行方が分からない場合であっても、認知症で相続の意思を表明できない場合であっても、そのような相続人を含め、全員が参加する必要があります。行方が分からない相続人がいるときは相続財産管理人に、認知症などで判断能力の不十分な相続人がいるときは後見制度を利用し後見人にそれぞれ相続人の代理人になってもらい、遺産分割協議に参加してもらうことになります。

 これらの制度は状況や事情によっては使えず、遺産分割が進められないこともあります。このような相続関係が予想されるときは、遺言を作成して遺産分割協議の余地をなくすことが必要です。



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